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第10回山梨フジカラーフォトグランプリ受賞作品

【総評】風景写真家 佐藤 尚

たくさんのご応募、ありがとうございました。審査会場で、一枚一枚の作品をじっくりと拝見させていただきました。 入賞上位作品には、目に見える美しいものを写しただけでなく、「見えていないもの」を感じさせる表現が多くありました。 写真ならではの視点が、思わず見入ってしまう作品へとつながっています。 たとえば、グランプリを受賞した野沢宏旦さんの作品「準備」は、野球グラウンドの光景を写しながらも、そこにいる人物それぞれの心の内が伝わってくるような印象を受けました。 「見えていないもの」を写し取ることは、写真表現の大きな力になります。

【風景部門】
やはり、富士山は人気!今年も多くの作品が寄せられ、とくに夜の風景の面白さが際立っていました。デジタルカメラの進化により、表現の幅がさらに広がっていますね。ただ、昨年同様、より幅広い視点での風景作品も見てみたいという思いもあります。富士山、南アルプス、八ヶ岳など名峰が多数あり、森や川などの豊かな自然、歴史ある名所旧跡、田園や町並みなど人々の営みもまた魅力的な被写体です。視点を広げて、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【自由部門】
人物や風景との心の距離が近いと感じられる作品が印象的でした。「えっ!」と思わせる瞬間、日常の観察力、撮影者の思いが伝わってくる作品が素敵に感じました。

【学生部門】
学生ならではの視点が光り、日常の輝きが感じられる作品がありました。特に、光の使い方にはそれぞれに独特の感性があるように思いました。いっぱい写真を撮って楽しんでください。

写真の魅力は、「見えているもの」だけでなく、「見えていないもの」を感じ取ることでもあります。それを撮影技術で表現し、撮影者の気持ちを込めて写すこと。そして、何より、写真を楽しむことが大切です。写真の楽しさには、大きく3つの要素があります。それは、「写真を撮ること」「写真を見返すこと」「写真をカタチにすること」。カタチにするとは、プリントして残したり、写真展に参加したり、コンテストに応募したりすることです。今後も、ぜひ、さまざまな形で写真を楽しんでください。

グランプリ

グランプリ

グランプリ

撮影者
野沢 宏旦
題名
準備
講評
写真は一瞬を切り取る表現ですが、この作品には、まるでムービーのワンシーンを止めたかのような、不思議な時空の広がりを感じます。試合が進むグラウンド、熱心に応援するチームメイト、そしてキャッチボールを始める男の子——それぞれの動きが画面の中に存在し、写真の面白さがいっそう際立っています。試合中の投手をあえて画面に入れない構成にすることで、見る人の想像が膨らみ、物語性が増しています。そして、ボールをつかんだ男の子の足がわずかに浮いていることで、静止画でありながらも躍動感が生まれています。また、画面の中に配置された赤色の要素が遠近感を作り、写真全体のアクセントになっています。さらに、写し出された人物それぞれの心の内が伝わってくるような、奥行きのある作品だと感じました。

自由部門 金賞

自由部門 金賞

自由部門 金賞

撮影者
相川 よし美
題名
よろしくネ
講評
この作品を拝見したとき、思わず涙がこぼれそうになりました。あまりにも愛らしく、いつまでも仲良しでいてほしい。そう願わずにはいられなかったからです。並んでランドセルを背負う2人の姿は、それだけで微笑ましいもの。さらに、シンメトリーなポーズが、スナップ撮影ならではの絶妙な瞬間を際立たせています。そして、堂々と中央に配置された構図に加え、周囲の日常品が包み込むような構図により、作品全体に安定感とあたたかみが生まれています。

自由部門 銀賞

自由部門 銀賞

自由部門 銀賞

撮影者
萩原 元
題名
しあわせ
講評
動物が寄り添い語り合うようなその姿、親子なのでしょうか、向かい合う構図から想像がいろいろ膨らみます。撮影は半逆光で行われており、そのおかげで動物の輪郭が美しく浮かび上がっています。目にピントを合わせたことで、同時に胴体部分にもピントがしっかりと合い、毛並みが細部まで見事に再現され美しい作品に仕上がっています。
自由部門 銀賞

自由部門 銀賞

撮影者
山口 敏造
題名
川霧の中を渡御する
講評
霧が漂う川の中を歩む男性たちの姿。その静寂の中に、確かな力強さを感じます。半逆光の効果によって、黒い闇の中に浮かび上がる神輿。その存在感が際立ち、画面全体に神秘的な空気を生み出しています。また、明暗のバランスが巧みに取られており、白装束がひときわ映えることで、より神聖な雰囲気が強調されて、印象的な一枚です。

自由部門 銅賞

自由部門 銅賞

自由部門 銅賞

撮影者
真田 俊正
題名
実りを守る
講評
遠景にそびえる甲斐駒ヶ岳、近景に佇む案山子、そして前景には黄金色に実った稲穂。美しい構図の中に、故郷の風景が穏やかに描かれています。ふと案山子に目を向けると、まるでロボットが服を着ているかのよう。そのユーモラスな雰囲気が、田舎ならではの温かさも感じさせ、見る人の心を和ませます。
自由部門 銅賞

自由部門 銅賞

撮影者
沢登 祐樹
題名
春爛漫
講評
お二人の歩んできた人生を祝福するかのように、桜の花が優しく咲き誇り、全体を包み込むような構図で捉えられています。前ボケを活かした柔らかな描写が、続く道に奥行きを与え、画面全体に穏やかで温かな雰囲気を生み出しています。そして、透過光に照らされた花びらがいっそう鮮やかに輝き、春の訪れの喜びを感じさせてくれる一枚です。
自由部門 銅賞

自由部門 銅賞

撮影者
井出 ひとみ
題名
風が見える時
講評
紙でできた風車がずらりと並ぶ様子は、観光用の装飾かもしれませんが、茅葺き屋根やガラス窓と見事に調和し、まるで昔からそこにあったかのような趣を感じさせます。シンプルな構図の中で、回っている風車と静止している風車が存在し、画面の中にさりげない変化を作り出している点も面白く思いました。

自由部門 入選

自由部門 入選

自由部門 入選

撮影者
前田 利男
題名
卒業
自由部門 入選

自由部門 入選

撮影者
森本 雄策
題名
静寂
自由部門 入選

自由部門 入選

撮影者
三澤 久
題名
光の海
自由部門 入選

自由部門 入選

撮影者
田中 晃幸
題名
シャワー
自由部門 入選

自由部門 入選

撮影者
櫻本 雅彦
題名
自由部門 入選

自由部門 入選

撮影者
長坂 章
題名
ザザッザー、ボーボボ
自由部門 入選

自由部門 入選

撮影者
猪股 勉
題名
よっこらしょ
自由部門 入選

自由部門 入選

撮影者
小林 忠
題名
どんと焼きに魅了
自由部門 入選

自由部門 入選

撮影者
乙黒 幸智夫
題名
突っ走れ
自由部門 入選

自由部門 入選

撮影者
河西 茂彦
題名
愛の風に乗せて

風景・ネイチャー部門 金賞

風景・ネイチャー部門 金賞

風景・ネイチャー部門 金賞

撮影者
渡辺 英基
題名
冬花火終わりて
講評
なんて素敵な作品でしょう。多くの人が知らない夜の一瞬が、見事に写し取られています。人々が夜の団らんのひとときを過ごしている頃、富士山の麓では、こんなにも幻想的な光景が静かに広がっているのだと感じました。その美しい情景だけでも、作品は審査の上位にふさわしいものでした。ところが、審査後に写真のタイトルを知り、驚愕しました。なんと、この霧のように見えたものは花火の煙だったのです。通常であれば敬遠されがちな煙を、ここまで印象的な作品に仕上げた意欲と表現力には、改めて敬意を表します。実際のものとは異なるものに“見せる”ことができる—。それもまた、写真の持つ大きな魅力のひとつです。

風景・ネイチャー部門 銀賞

風景・ネイチャー部門 銀賞

風景・ネイチャー部門 銀賞

撮影者
とがわ ゆかり
題名
白き浮遊
講評
大胆な表現によって被写体の魅力を伝える作品です。雲海や霧をここまで白く飛ばす露出で本当に良いのか。そんな迷いを一切感じさせない潔い表現に、思わず引き込まれます。全体的に白が支配する描写の中で、黒い線や形が浮かび上がり、その景色には人の営みが見えてきます。富士の存在感がこれほどまでに強く感じられる一枚からは富士山への感謝と畏敬の念が静かに伝わってきます。
風景・ネイチャー部門 銀賞

風景・ネイチャー部門 銀賞

撮影者
渡邉 勝
題名
夏の朝
講評
麓には霧がたなびき、富士山は朝日を浴びて真っ赤に染まる。誰もがその壮大な姿をそのまま写したくなるような光景の中で、作者の視点は違います。前景には、空き地なのか溜池なのか判然としない荒野が広がり、奥には電線や電柱、廃屋が乱雑に並ぶ。人の気配が消えかけたようなその光景には、どこか現実離れした静けさが漂い、その異質な空気感こそが、この作品の最大の魅力です。

風景・ネイチャー部門 銅賞

風景・ネイチャー部門 銅賞

風景・ネイチャー部門 銅賞

撮影者
井出 吾朗
題名
月明り
講評
月明かりに照らされた夜の風景が、豊かなコントラストを生み出し、ストレートな構図がいっそう印象を強めています。雪煙が舞う中、威風堂々と佇む富士山。その圧倒的な存在感からは、静かなる力強さが伝わってきます。そして、手前に佇む茅葺きの民家もまた、長い時を重ねながら変わらぬ風景としてそこにあり続けています。日本の原風景の美しさが見事に表現されています。
風景・ネイチャー部門 銅賞

風景・ネイチャー部門 銅賞

撮影者
小俣 仁
題名
落日の煌めき
講評
富士山の山頂付近に滝が流れている光景に思わず圧倒されます。太陽の光が神々しく差し込み、清らかに流れ続ける水の輝きを、いっそう際立たせています。山麓では「ダイヤモンド富士」が多くの人々を魅了しますが、富士山そのものに分け入り、太陽を捉えたことで、より強烈な印象となる作品になりました。
風景・ネイチャー部門 銅賞

風景・ネイチャー部門 銅賞

撮影者
持田 恭茂
題名
夕焼け
講評
沈みゆく月に照らされ、赤く焼けた雲。その輝きが長時間露光によって放射状に流れて描写され、空全体の方向性が一致することで、作品に不思議な神秘性が宿っています。麓で静かに営まれる人々の暮らし、そして富士山頂を目指す登山者たちが作り出す灯りの道。その様子が穏やかな時間の流れを感じさせます。

風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

撮影者
佐藤 知津夫
題名
月光に陰る
風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

撮影者
村上 敏幸
題名
彩づく朝
風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

撮影者
渡邉 輝実
題名
霜の朝
風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

撮影者
金子 実
題名
朝焼け
風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

撮影者
伊藤 和比古
題名
氷上に遊ぶ
風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

撮影者
佐久間 法男
題名
静寂蓮池
風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

撮影者
天野 喜夫
題名
山頂のドラマ
風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

撮影者
岡田 泰文
題名
氷瀑の輝き
風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

撮影者
中村 賢三
題名
こんにちわっ!
風景・ネイチャー部門 入選

風景・ネイチャー部門 入選

撮影者
星野 郁男
題名
秋色の水面

学生部門 金賞

学生部門 金賞

学生部門 金賞

撮影者
武居 優歩
題名
講評
雑然とした街の風景を切り取ったこの作品。道路の両側に並ぶ看板が放つ日本語のリズムが、独特の面白さを醸し出しています。日が傾き始め、街全体が柔らかい光に包まれる時間帯でしょうか。作者は、街を彩る無数の色をあえて白黒表現で排除し、観る者の想像の余地を作り出しました。タイトルが「いろ」とあることで、色彩を感じさせる要素を探したくもなります。さらに、前景にぼんやりと入る斜めの線が視線を誘導し、画面に奥行きを生み出している点も印象的です。

学生部門 銀賞

学生部門 銀賞

学生部門 銀賞

撮影者
梶原 万知
題名
ここにいないあなたへ
講評
ポートレート写真のような、被写体との距離感が近く感じられます。シンガーの心の声が静かに響き、照明の色彩や視線の先、マイクを持つ指先までもが、視覚を超えて感情を伝えてきます。実際には聴こえてこないはずの“言葉”が、まるで耳元で語りかけられるかのように届いてくるのです。構図もよく心地よい印象の一枚です。
学生部門 銀賞

学生部門 銀賞

撮影者
池田 遥音
題名
木漏れ日
講評
太陽の光を求めて真っすぐに伸びる木々の姿が力強く描写されていて、まるで励まされているかのような気持ちになります。左側には明るい広葉樹が、右側には暗い針葉樹がそれぞれ存在し、左右に分かれた二分割構図が非常に面白く感じました。光と影、対比の中に現れる自然の力強さが心に響いてきます。

学生部門 銅賞

学生部門 銅賞

学生部門 銅賞

撮影者
宮坂 徠希
題名
Unmatch
講評
大きな窓を挟み、こちら側とあちら側を分ける画面構成が印象的です。そこには何か意味が込められているように感じます。そして、画面の大部分を大胆に黒が占めることで、「何もない」空間にも意味が生まれ、そこにシルエットの人物が加わることで、画面が引き締まり、洗練された作品に仕上がっています。
学生部門 銅賞

学生部門 銅賞

撮影者
高村 知徳
題名
キメ顔
講評
良い表情を引き出せるのは、やはり被写体との信頼関係があってこそ。広角レンズを活かし、近距離から撮影することで、まるで息づかいまで感じられるような臨場感があります。さらに、逆光のハレーションをレンズに取り入れることで、温かみのある描写になりました。
学生部門 銅賞

学生部門 銅賞

撮影者
徳田 藍
題名
parallel
講評
街中で見つけた水たまりに気づくことから生まれた一枚。低い位置から捉えた映り込みの風景が、独特の視点を生み出しています。漆黒の夜の中に、感じられる人の気配や生活の痕跡。それが、水面に静かに映し出されているのが印象的です。

学生部門 入選

学生部門 入選

学生部門 入選

撮影者
白木 晃美
題名
まねっこ
学生部門 入選

学生部門 入選

撮影者
三枝 藍子
題名
やさしいところもあるんだよ
学生部門 入選

学生部門 入選

撮影者
葛西 凜々花
題名
秋に会う、君のいろ
学生部門 入選

学生部門 入選

撮影者
中村 優心
題名
冬の富士